瞑想が注目されるようになった要因として、その効果が科学的に証明されたことが挙げられます。
瞑想という「脳のトレーニング」を繰り返す事で、脳を活性化させ、人の精神活動に影響を与えることがわかってきたんです。

瞑想によって「DMN」と呼ばれる脳内ネットワークが休まり、認知機能を担う「海馬」が増大することが分かってきました!
脳のエネルギーの大半は「デフォルト・モード・ネットワーク(DMN)」に使われている
脳は体重の2%ほどの大きさにもかかわらず、体が消費するエネルギーの20%もしめています。
そして更に、脳のエネルギーの大半は「デフォルト・モード・ネットワーク(DMN)」という脳回路に使われているんです。

え?DMM.com?

DMMじゃなくて、DMN!
DMNというのは、何も考えずぼーっとしているときにも活動しています。
つまり、脳は24時間365日ほとんど休むことなく働き続けているというわけですね。
そのため、DMNの活動を休ませて上げることが、本当の意味で脳を休ませることに繋がるわけです。
会社を休んで一日中ぼーっとしていたのに疲れが取れない・・・。という人は、DMNが過剰に活動しているのが原因かもしれません。

ぼーっとしているのに雑念が湧いてくるのは、DMNが活動しているからなのね。
瞑想によってDMNの活動が抑えられる
このように、考え事が浮かんできては消えていき、今やるべきことに集中できないときはDMNが活発に活動している状態となっています。
しかし瞑想の熟練者になると、意図的にDMNの活動を低下させることができるようになります。
下のグラフは3種類の瞑想について検証を行ったものですが、熟練者はすべての瞑想パターンにおいてDMN活動の鎮静化が確認されているんです。

こうした研究結果によって、「瞑想がDMNの活動を抑える」ということが科学的に明らかになってきました。
瞑想が脳の構造を変える
瞑想を続けると、脳の構造が変化していくことも分かってきました。
これらの変化によって前頭前皮質への血流が増し、自分や他人の思考や感情の動きを理解する力が向上することが分かってきました。
つまり、瞑想によってストレスが減り、衝動的な行動が抑制され、感情認識が高まる事で自己コントロール力が増すことが科学的に証明されてきたわけですね。
ダライ・ラマが科学的見地からの調査研究を依頼していた

瞑想が科学的に研究されはじめるきっかけを作った人物。
それがチベットの宗教的リーダー「ダライ・ラマ14世」です。
1990年代、ダライ・ラマ14世は世界の科学者に向けて「瞑想がどういう効果を人間にもたらすのか、科学的見地からぜひ調査研究を行ってほしい。」というメッセージを送りました。
このメッセージを受けて、アメリカの大学で一斉に研究が開始されます。
その後、ダライ・ラマ14世の協力を受けながら、瞑想を年間1万時間以上している高僧たちや瞑想している一般の人々の脳がどのように変化し、どういった効果をもたらすのか調べたところ、その有効性を示す結果が次々に見つかってきたというわけなんです。
瞑想を科学的に研究している人物
ジョン・カバット・ジン博士
実践することでストレスが低減し、免疫や病気に対する抗体があがり、感染症の治癒も早まるなど、科学的な臨床結果が発表されました。
サラ・ラザー博士
瞑想によって集中力が増すだけでなく、瞑想が実際に脳の重要な領域の大きさに変化をもたらし、記憶力を向上させ、他人の気持ちを理解できるようになったり、人を思いやったり、ストレス耐性が強くなったりする研究を発表。
注意と感覚処理に関する脳領域(前頭連合野・ブロードマン領域)の体積が増すことを発見した。
まとめ
瞑想の科学的根拠に関しては一定の批判があることも確かです。
しかし批判の多くは、研究が始まった最初の数年に対するものが多いです。
効果判定のための研究デザインや比較対象群の決め方が弱いといった感じですね。
しかし、最近の研究成果は脳科学の進歩と相まって信頼性の高いものが多くなってきています。
実利を優先する世界的な経営者や、最高のパフォーマンスが求められるアーティスト達がこぞってマインドフルネス瞑想を行っているのも、その効果を身をもって実感しているからなんでしょうね。