マインドフルネス瞑想を一言で説明すると「宗教的な概念を取り払った瞑想法」です。
そして瞑想とは「自分の呼吸に意識を集中して、脳を休ませる行為」のこと。
でも、そんな面倒なことをしなくても、「ただ何も考えずにぼーっとしていれば脳は休まるんじゃないの?」って思いますよね。
結論から言うと、それじゃダメなんです。
ただぼーっとしているだけじゃ脳の疲れはとれないんですね。
人間の脳は24時間365日休むことを知らないので、むしろどんどんエネルギーを消費しつづけてしまいます。

脳には週休2日制とか関係ないんです!
でも、脳だって休みなしで働いていたら疲れます。
この脳の疲れが溜まってくると次のような症状があらわれてくるんです。
・いくら眠っても何となくだるい
・旅行でリフレッシュしても、次の週にはまた疲れている
・いろいろなことが気になって集中力が続かない
・少しのことですぐにイライラする
休日、温泉に行って休めば「体の疲れ」は取れるでしょう。
でもそれだけでは「脳の疲れ」は取れません。
脳には脳の休め方がある。

そして科学的にも立証された脳の最高の休息方法が「マインドフルネス瞑想」なんです。
マインドフルネスって何?
マインドフルネスが「脳を休息させる方法」なのは分かったけど、マインドフルネス瞑想を行うことで一体どんな変化があらわれるのか?
まずは「マインドフルネスな状態」と、その反対となる「マインドレスネスな状態」を比べてみたいと思います。
- 「今、この瞬間」に意識を集中させている。
⇒雑念にとらわれていない状態 - 自分の感覚、感情、思考を冷静に観察できる。
⇒自分を空から見下ろしたような感覚で観察できる - 過去を振り返ったり未来も考えたりしない。
⇒今やるべきことがはっきりと分かっている
過ぎ去ったことにとらわれず、これから起きる未来も考えず、ひたすら「今」に意識を向けることで客観性を作り出し、心が整う。
そんな状態を「マインドフルネスな状態」と呼んでいます。
逆に「マインドレスネスな状態」はどんな感じなのかというと・・・
- 集中力がない。
⇒1つのことをやっていると、すぐに他のことが気になってしまう。 - 注意力が散漫で、頭の中がグチャグチャしている。
⇒やるべきことがどんどん浮かんできて、やる前から疲れ切ってしまう - 過去のことでクヨクヨしたり将来が不安になっている。
⇒これからどうするべきか自信がもてずモヤモヤしている
現代社会は昔より自由になった分、仕事や生活の面で選択肢が増えすぎて「やることや決めることがいっぱい」の状態。
そんな状況に長く身を置いていると、脳が疲れて最善のパフォーマンスを発揮できなくなってしまいます。

選択肢が多すぎるというのも考え物なんですね。
なぜ今マインドフルネスが注目されているの?

私たちの日常は、仕事のプレッシャー、人間関係、生活環境の変化、自然災害といった様々なストレスがいっぱいです。
また、スマホの普及によって情報の取捨選択を行う機会が増えたり、SNSの普及によって他人とコミュニケーションを取る時間が増えてきています。
昔よりも脳が疲れやすく、自己コントロール力が一層求められる社会になってきているため、瞑想によって脳をデトックスさせる必要が増えてきたというわけです。
マインドフルネス瞑想の効果は?
マインドフルネス瞑想を行うことで得られる効果は次の3つです。
- ストレスの解消
- 集中力・記憶力のアップ
- 感情の抑制
マインドフルネスの効果を、もう少し詳しく見ていきましょう。
①ストレスの解消
意図的に何もしない時間を作り、思考や感覚を客観的に観察していくと、心身共に休まり、ストレスから解放されて心が穏やかになってきます。
また、自分の内側で起こっている感情や感覚をありのまま受け入れる力が付いてくると、自分にも他人にも思いやりの心が育まれてくるため、対人関係のストレスが少なくなってきます。
②集中力・記憶力のアップ
「今この瞬間」の1点に意識を集中させることを繰り返していると、集中力そのものが鍛えられ、仕事、スポーツ、勉強などに良い影響を与えるようになります。
また、独創的で革新的なアイデアは、論理的な思考とは違う次元から湧いてくるもの。
心を鎮め、感受性を高めることは直観力や創造性を高めることにも繋がります。
③感情の抑制
心が落ち着き、脳がデトックスされると頭がクリアになって自分をコントロールする力が高まってきます。
また、寝る前に瞑想を行うことで交感神経と副交感神経のバランスが整い、緊張やストレスが解消されて深い睡眠にも繋がります。
瞑想の科学的根拠とは?

マインドフルネス瞑想が注目されるようになった要因として、その効果が科学的に証明されたことが挙げられます。
瞑想という脳のトレーニングを繰り返す事で、脳を活性化させ、人の精神活動に影響を与えることがわかってきたんです。
- 偏桃体が減少
⇒瞑想すると、不安や恐怖など、ストレスに反応する「偏桃体」の働きが抑制される。 - 海馬が増大
⇒瞑想すると、認知機能を担う「海馬」が増大する。
これによって前頭前皮質への血流が増し、自分や他人の思考や感情の動きを理解する力が向上することが分かりました。
瞑想によってストレスが減り、衝動的な行動が抑制され、感情認識が高まる事で自己コントロール力が増すことが科学的に証明されたんですね。
脳が疲れるメカニズム

人間の脳は体重の2%ほどの大きさにもかかわらず、身体が消費するエネルギーの20%を使う大飯食らい。
そして脳が消費するエネルギーの大半が「デフォルト・モード・ネットワーク(DMN)」という脳回路に使われているんです。
DMNとは「脳が意識的な活動をしていないときに働く脳内ネットワーク」のことで、ぼーっとしたり寝ているときでもエネルギーを消費しています。
そのエネルギー消費量は脳全体の60~80%を占めるといわれていて、DMNが働き続ける限り、脳はどんどん疲れていく・・・というわけなんです。
考え事が浮かんでは消えていき、目の前のことに集中できないときは、脳のDMNが活発に活動している状態。つまり脳疲労の状態です。

DMNの活動を抑えないと、本当の休息は訪れないんですね。
しかし、マインドフルネス瞑想を続けていくと、意図的にDMNの活動を低下させられることが研究によって明らかになってきました。
つまり、瞑想こそが科学的に正しい脳の休息法だということが分かってきたんです。
まとめ
人は1日に6万回も思考をすると言われ、そのほとんどが同じことを繰り返す「無意識の思考」となっています。
そしてこの無意識の思考に感情が乗っかり、イライラやストレスを生み出しているんです。
「今この瞬間」に意識を集中させることで自分を客観視し、様々な「気づき」をもたらすマインドフルネスは、その無意識の思考を一旦断ち切れる唯一といってもいい方法です。

マインドフルネスをうまく活用して、毎日の生活に役立ててみてくださいね。
